Kが赤いブレザーを着て雨に濡れながらふらふらと歩いている。荷造りで傘をぜんぶ送ってしまいましたと言う。こちらに向かって倒れる。わたしは膝の上で抱き止めて、彼のブレザーを絞る。赤い水。横ではA(かつT)が桃色の豪奢な着物を着てぐったりとしている…
女の子が男の子に話す。どこかの町の話、人が一人死ぬと家の電気が一つ消える、人が一人生まれると家の電気が一つつく。二人は山の上のようなところから町を見ている。ついたり消えたりする明かり。 男の子が眠った女の子をおぶって歩いている、朝日がのぼっ…
12月30日 全身麻酔が効かない。手術台に横たわっている。今から麻酔を入れますと言われるが、息を吸っても意識が落ちない。医師が麻酔の濃度を上げる。深く吸うのではなく浅く吸うように指示されるが、それでもだめだ。わたしは病院を抜け出す。手術着のまま…
センスのいい本を本棚から選んで、走り出さないといけない。池袋のラブホテル街。父親がいる。大して美しくないおばさんを連れている。わたしは制服を着ている。店に入ろうとする父を追いかけるが、途中で消えてしまう。薬局に行きましたよ、と受付の女が言…
「お母さんってドブなの」 「どうして」 「ドブをさらってごらん」
Nが家庭科の授業が終わっても一人で皿洗いをしている。わたしとTが近づいてみると水の中に白いものが浮かんでいる。つまみ上げると女物のキャミソールだ。他にも同じ色のパンツ、灰色のシュシュがある。これはいじめだ。わたしとTはこれは百均のものであるこ…
小学生。わたしはKと付き合っている。でもYのことが好きだ。Yは変な本を読むわたしのことをわかってくれる。わたしは大切な本を学校のゴミ倉庫に捨ててしまう。17時に回収されるのに数分間に合わなかった。なぜこんなことをしたのだろうと思う。おおきなバザ…
海外から帰る船の中、ベッドがぎちぎちに並べられていて、区画で売っている。Aはすぐに2万円近いベッドを取った。わたしはそんなに、と思い、Bと二人で1万円くらいのベッドを取ろうとしたが、すぐに埋まってしまい、もはやいくら払っても横になれそうにない…
学校でモドキというあだ名の先生が、自分の持ち物を教室で売り始める。モドキは陰気な先生だ。どうやらまもなく死ぬらしく、身辺整理をしているらしい。モドキは自分の持ち物を波状に並べる。そこにはなぜか女物の靴や着物もある。二束三文やタダで持ち物を…
もう二度と会えないであろうKから誕生日プレゼントをもらう。オレンジ色の花のブーケと、白地に細く青いストライプの入ったツーピース。どちらもわたしの好みではないのだが、それを着て花を持って鏡に映ると、よく似合って見える。彼からわたしはこう見えて…
不登校、みんなが学校に行った後にスーパーに行くからおいしい菓子パンはぜんぶ売り切れている。
歯列矯正の相談に行く。おじいちゃんの院長先生が出てくる。初め、虫歯の相談かと思われる。わたしが歯列矯正の相談にきたのですと言うと、綺麗な歯並びをしているから気づかなかったと言われる。わたしは下の歯を見せる。一度矯正をしたけど親知らずが生え…
高校生。明日土曜日は夜から宅建の模試だって言ってたら、簿記二級の本番でしょう?と言われる。少ないけれど財布に千円入れておいたからね。簿記なんて受けるって言った覚えがないのに言ったことになっていて、母親が受験料一万数千円を振り込んであると通…
生理ナプキンの包紙でひこうきやら何やらをつくるのが教室で流行る。クラスの委員長が問題提起する。わたしは女は週に七日これを使わなくてはならず、すると包装紙が余るのだと主張する。委員長は激昂する。 中国人とデートに行く。前日の夜ベランダで母親が…
わたし、ショートカットの女。ワンマン電車に乗って通学している。著しい光。いつもそこに立っている赤いトレンチコートを着た男のことが内心好きである。 学校にあまり通えない。心配している男の担任の先生の家に泊めてもらう。彼の実家のようなところ。母…
ふたりで布団に横になっている。わたしは恋人に「ばぶ」と言いなさいという。大人で赤ちゃんをしているのはあなたと世界仰天ニュースに出ていた人くらいだ。馬鹿をやるのはコロコロコミックに準ずればいいけれど、ばぶは才能だ、というようなことを言う。恋…
学校にも家にも居場所がない女の子が、強姦されて母親が死んで、湖に転がり落ちて自殺をするお話。 ムシェットはちょっと不良でみんなから浮いている。学校で讃美歌を合唱する中、彼女だけ歌わない。先生に目をつけられて一人で歌わされると、節を外してしま…
自分の脚を型にして人形を作ってデザインカッターで割るところをずっと見られている。 痛みで声が出る、皮膚まで一緒に切っているのだから。息も絶え絶えに聞く。あなたはどうして××に固執するの、あなたならどこだって行けたのに、それはJが××大学に行った…
いじめを受けて男子校に転校したのだけど、とても毎日が愉快。朝の読書時間中、机の上にグリンピースやスティックシュガーがぶちまけられる。
夏、サークラの合宿に行く。宿は海辺で、窓を開けたらすぐ海がある。早朝に目が覚めると、浜場にHとMがいる。ラジオをしているのだ。わたしは窓を開けて声をかける。「わたしもそっちへ行っていい?」「潜ってきてくださいね」服のまま窓から海へ飛び込む。…
バレンタインデーの日、教室の後ろの棚に、飴の入った袋が並んでいる。三角形のいちごの飴が入った袋を選ぶと、Tが話しかけてくる。いいものを選んだね、俺のと一つ交換しよう。彼の袋に詰まっているミルキーは知っているものよりひとまわり大きい。その理由…
学校から帰ってくると、母がスーパーのお弁当をたくさん買ってきている。とても食べきれない。すべて床に置いてあり、蓋が開けてある。揚げ物ばかりだ。菓子パンもたくさんある。お母さん、こんなに食べられないよ、と言うと、いいのよ、と笑う。母の頭の悪…
Aちゃんのお父さんが亡くなる。 生前親しくしていたわたしとBが、学校を早退して何かに向かう。わたしたちはそこにいくつもりなんてない。学校をサボるのだ。制服だとバレてしまう。近くのスーパーに寄って服を買うことにする。 Aが花を眺めている。それはネ…
母親、わたしに呪い殺されるようにどこかの民族に伝わる呪いを、自分で自分にかける。これをすると、七年寿命が縮まるのだと笑う。わたしはそんなものあなた一人の思い込みだと言うと、私が死んだ理由は周囲のみんなに広がるのだと返される。 不気味に思って…
あなたの名前の由来を当ててあげよう、と言うおじさん。わたしは自分の名前をさらと告げておじさんをにこにこくねくねしながらじっと見る。なにを言っても同じ状態でいるとおじさんは自分の言った中に正解はないという。あったのに。わたしはそばにあるボッ…
アドリブで演技をする。男の子が川岸から落ちて灰色の薔薇のところで頭を打つ。戻ってくると、血。彼はわたしのことを好きになっている芝居をする。その瞼にはアイシャドウを塗っている。彼はわたしの指を口に含む。おでこの血をハンカチで拭おうか迷う。わ…
Aが人を弔った話を聞いたという。念仏を唱えるのではなく、ううと言いながら臥せた犬を三回押さえるようにするらしい。
修学旅行に来ている。好きな人とその好きな人は同じ班で、わたしは違う班だ。彼は髪をいつもより短く切っている。その姿はどこにいても見つからない。畳の上に座っていると、昨日会ったばかりの男に後ろから抱きしめられる。対抗して頭を殴って逃げる。薄暗…
9時に起きる 高校の長距離走に参加する。蕎麦粉置き場から走り始めるのだが、わたしはそれに遅れてしまう。母が車で追いかける。ナンバー9の駐車場に車を止めるとAさんと茶髪で痩せた髪の長い女が立ってにこにこしている。そこに車を止めるのはいつもさらち…
テレビをつけているとAさんについてのドキュメンタリーが始まる。わたしが興味を持っている女の子だ。録画をしようか迷い、やめる。 AさんはB大学××学科を卒業後、Cに就職。△△で新聞に載り、と続く。動画で観るAは写真で見るAよりも随分かわいらしい。光る目…