夢日記

夢がないのにユメちゃん、未来がないのにミラちゃん

性的な夢を三つ

0647


夕方、薄暗いパーラー、レジからお金をもらっていい?と訊ねる。弟がいる。今日は六月二七日だよね、風迅と雷迅のところへ行く。千円札を二枚持って、わたしは走っていく。弟も一緒だ。風迅と雷迅は犬と人の合いの子。十六歳の時に孕んだ。生きていれば十二になる(わたしはまだ少女なのに?)弟はそのことが原因で不登校になってしまった。墓に着く。これでパンを買っておいで、と弟にお金を渡す。

 

実の父と風呂に入る。わたしの言葉で機嫌を損ねて先に出た父は、母に、あの子は実に良い子だ、髪の毛まで洗ってくれる、と言う。良い子は父親と風呂に入りませんよ、と母の声。ここで近親相姦が行われていることは見て見ぬふりをされている。

 

渋谷で待ち合わせ、十九の女の子が惨殺されている。メイド喫茶で働いていると言っていた。それは見せかけで、個人売春の店だということをわたしは知っている。まだとても若く、かわいらしかったのに。長い黒髪に揃えた前髪。

お守り、演劇、青い蝶の夢

通学鞄にたくさんつけたうさぎのぬいぐるみを取って、お守りに変える。学校に行きたくないと母に言う。いつのまにか車椅子に乗ってさみしい河川敷にいる。白い空を眺めていると、同じように空を見ている女から声をかけられる、わたしと友達になりたいらしいが、無碍にする。

演劇をする。学習塾に男が侵入し、わたしの首にナイフを当てるが、子供達もみなナイフを持っていて、首を切り、次々と絶命していく。わたしは最後の一人になる。それを見て、男が言う。「このナイフの鞘の中には一匹の青い蝶がいる。この蝶の毒で眠るように死ねる」と。わたしは笑いながら頷く。首に蝶の止まったわたしはどんどん傾いていき、男の膝で死ぬ。男の最後のセリフで目を開けるはずが、一つ前のセリフで目を開けてしまう。芝居が終わって「間違えた」と言う。わたしはこの芝居の脚本を貰っていない。お話を知らないままで演技をしたからとても難しかった。観客の反応はばらばらだ。「さらちゃんはマストだね」と言う人と、「素と変わらないあれは演技じゃない」と言う人。帰り道に後輩が立ち上げた夏プロの劇のチラシがある。参加者はみんな知らない名前だ。

少年、ガラスの兎、十四歳の夢

Sから借りた少女漫画を読んでいる。
中国人の少年が「昔、ガラスで兎を作ったが、顔が割れてしまい人に売った。精巧に作ったから手放したくなかった」と話す。もう一人の日本人の少年が「ステンドグラス工房の先生が、割れたガラスをくっつける方法を知っていたよ」と言う。彼はにこにこ話している。ページをめくる。「君は神様の元へいける。セックスをしていないから。十四までにセックスをした子供は地獄へ落ちる。けっして天国には行けない」少年の顔は泣き笑いのように歪んでいる。彼は先生からレイプを受けたのだ。
わたしは起きて「怖い夢を見たの」とNに言う。Nは、あなたはかつての自分のトラウマを想起する夢ばかり見るから話を聞きたくないと言う。
目が覚める。Nは隣で眠っている。

 

押入れ 猫耳 男の子の夢

部屋の中。私が目覚めるころに少年が素早く押し入れに入る。黒いミニスカートにガーターベルト猫耳。頰のあたりがごつごつしているが、化粧をしたその姿は美しい。彼は鏡を見て「若い」と言う。わたしを向いて「おやすみなさい」と。襖を閉める。わたしも宵っぱりになれば彼と生活が合うのだろうか。床にはもう一人、男の子。八ヶ月になっても泣かなかった。脳性麻痺だから。彼はそのままずっと大きくなって、自分は妊娠していると思い込んでいる。テレビを見るとコンピューター系の専門学校のCMが流れている。宿題をしなくっちゃと思う。

 

美術部の夢

0416

 

美術部の卒業制作。いつまで経ってもテーマが決まらない。木で作った簡素な部屋のようなもの。見世物小屋を作るつもりだ。教室の正面で先生が「この中で差別的な作品を作る人はいませんか?」と訊く。わたしじゃないか、と思う。
先生がこちらを廻ってくる。わたしは「見世物小屋を作るつもりです、人形はワークショップで作ったものに髪を張り直して」と説明する。先生の顔が曇る。「あなたは自分一人の力で作った人形を使わないのですか」と。わたしは、あれは一日六時間、一週間かけないと作れません。かつて作ったものは顔が気に入らなくて、再びそこだけ作ろうと思っても、塗装を削り落とさないとないといけないこと。なにより受験勉強が忙しくて、正直もうそんな時間は取れないことを説明する。先生は「あなたは美術を捨てたのですね」と言う。わたしは「こんなことでなくなる美術なんてこちらから願い下げです」と返す。机の上の一輪の赤い薔薇。茎は長いままで花は小さい。各自、作品には薔薇を織り交ぜなくてはならない。わたしはこれを持って今から帰ろうか、と思案する。

卒業式、告白、薔薇の夢

0501

 

高校生活最後の日、卒業式。式まで四十分時間がある。先生が家が近い人は一時的に帰ってもいいと言う。部活の部長は緊張している。スピーチがあるから。わたしは帰宅を選ぶ。あのこは部長に告白するんじゃないか、と皆がひそひそ言う。今日は彼の誕生日でもある。
わたしは部屋に帰って眠ってしまう。時計は八時を指している。式まであと二十分しかない。薔薇のドライフラワーを入れていた花瓶が倒れて、布団の周りに散乱している。これはかつて部長がくれたものだ。今日は彼に薔薇を贈ろうかと思う。一本五百円、二十本で一万円。買えなくはない。でももう時間がない。

幻覚の夢

悪夢。逆上した弟に、彼が養殖しているミルワームと羽虫を振り掛けられる。わたしは全身を捩り、地団駄をしてそれを振り落とす。死骸で部屋中が真っ赤になる。その様子をiPhoneのカメラで何枚か撮る。

わたしはいつの間にか眠っていて、目覚める。窓の近くで日差しは柔らかく、ベランダから吹いてくる風が心地よい。汚いはずの冷蔵庫の中が整理され、割れた器がすべて金継ぎされている。母が仕事を休んで、家のことをしてくれているのだ。ベランダの床には新しい玉砂利が敷かれていて、その上を猫が気持ちよさそうに歩いたり、寝転んだりしている。

わたしは「猫は死んだはずなのになぜ見えるのか、確かに見えて触れるのだ」と母に訴える。母は「長く連れ添ったものはみな、そうなのだよ」と言う。わたしは虫の写真を見せようとするが、そんなものはないことに気づく。

あれはわたしの幻覚だ。家を出る前の弟に「もう二度と帰ってくるな」と叫び、本で殴ったのは本当。わたしの頭がおかしくなってしまったから、母は仕事を休んでくれて、わたしにとても優しい。猫だって本当はいないのに、話を合わせてくれている。それに気づいてとても悲しくなる。これは夢だ。わたしは夢の中でも頭がおかしいのだ。