エヴァンゲリオンとは、ニセモノの細木和子に現実の人間が心を支配されているようなものだ、という気づき。
新作のエヴァンゲリオンの映画を観た後、自宅に戻るための道を走って移動すると、突然中国人が出てきてピタリと止められる。街中の至る所でパニックが起こっているためらしい。マスクがない、と身振りで伝えると青いマスクをくれる。スーパーマーケットに行くと人がごったがえしている。立ったまま牛乳のかかったシリアルを食べる子供。母がいる。私たちは帰るからあなたも自力で帰ってと言われる。わたしはボソボソの食べかけのパンがあるからいいやと思う。ダイエットにもなるし。
静かな場所、二人でカタコトの英語と中国語と日本語で会話する。これから飛行機に乗って帰るのだと言うと、船、と言われる。方法は選ばずにとにかく帰れとのことだ。あなたに感謝の手紙を書きたいと伝えると、彼は紙ナプキンに名前や住所を書き始める。緑のインク。それがとても丁寧でもどかしい。
最後に片目のニャースを描く。映画にも出てきた。ああそれ、と言うと、彼は知らないと言う。人を止めるのが彼の仕事であるだけで、彼自身はまだ映画を観ていないのだ。