夢日記

夢がないのにユメちゃん、未来がないのにミラちゃん

死産の夢

出産することになる。破水もない、大した痛みもない、上顎にできた穴をいじっていると大きくなって破けてしまう。歯医者が直してくれたのに。横たわって目覚めると口の中が膿と唾液でいっぱいになる。積んである服の上に吐き出す。黒い服が汚れる。わたしは母親の前で気を失う。目が覚める。体が寒い。わたしは下着を脱いで脚を開いている。すぐそばの避妊具の中に拳より小さな胎児が入っている。心臓がむき出しになっている。冷たい。ビニール袋に胎盤のようなもの。赤ん坊は死んで生まれたのかと母親に訊く。母親ははっきりとした返事をしない。わたしはなぜ子供が産まれるのかわからない。生理は来ていたし薬も飲んでいたのに。妊娠中の検診にも一度も行ったことがない。救急車を呼べた子供は助かったのかと訊く。この時間の看護師は温風で器具を乾かしているから不衛生なのだと母は言う。不衛生でも、と思った瞬間、不衛生な病院に意識が飛ぶ、これでは血液を介する病気にかかってしまうと思う。

魂だけのようになる。軽い。22時11分に出産しましたというツイートを忘れていたと思う。でも死んでしまったから。わたしは豊かな髪を三つ編みにされている。かわいらしい子供服。お父さんに会うの、そうしたらピアノを弾かなくちゃ、と弟に言うと、弟も父親に会いたいと言う。快活な子供。わたしは少し大人になる。格好は変わらない。Aの車が大学に止まる。銀杏並木。白いバン。わたしはそこに行って待っていましたというように本を受け取る。膿の匂いがしないか一瞬気にする。恋人と会話ができる。遠く離れている、白い概念のようなものに話かける。いままでどこにいたの、男(たち)でフランスのお菓子を食べてきた、わたしは朧気な記憶で植民地支配の話をする、ポルトガルだけ異なる文化が発展したこと。わたしは空を飛んでいる、花をいっぱい育てることができるアパートはもう誰も住んでいない、空っぽのガラス張りの庭には机と椅子があって男が肘をついて座っている。かつてはアパートのオーナーだった彼は年を取り管理をすることが難しくなったのだ。