20時に目覚める
恋人を作らなくてはならないよという助言。
混血の男とドライブに行く。赤い薔薇の花束のプレゼント、さらに助手席から、一本、二本、三本と投げられる。そこにはIさんがいる。
会話の流れで、これは初めIさんにあてがわれた男であったと知る。この手をわたしにも使うつもりだったの? とIさんは言う。そのはずだったんだけどあなたは韓国の男にぞっこんで、という返事。
しかしそれも昔の話だ、と二人は笑う。
いつのまにか男と別れていて、Iさんと祇園でアルバイトしていたころのオーナーがでてくる。今日のお礼を言うなら、明日か明後日か明明後日だとiPhoneのカレンダーをぐるりと囲まれる。わたしは彼を、Iさん伝いにFacebookでお友達登録しないといけないらしい。
実家が引っ越した。部屋が少ないのだがお風呂が素晴らしい、緑のタイルに小さなステンレスの浴槽、底に薔薇の絵の描かれた陶器のバスタブトレーが引っ掛けられている。その窪みにはお湯がたくさん溜まっている。ゆらゆら揺れる底を眺めている
人が死のうとしている。暗い部屋。誰が死ぬのかわからない。わたしの祖父だろうか。向かい側の誰かが彼の体にくちづけを繰り返している。そうか、これは絵画なのだ。わたしも注意深く彼の背中にくちづける。
誰かが嘔吐して大きな敷物を汚してしまった、他にも一つ汚れ物がある。洗濯機の中に放り込むとどちらも収まる。人の家の洗濯機の大きさに驚かされる。
中古の自転車を買いに行く。
猥雑な店で車輪に棘がついていてどう考えても走れないピンクの自転車を8000円ほどで買う。出口で、男とすれ違う。大量のリスパダール(だろうか)とブロンの瓶。わたしは彼を捕まえる。あなたは何を買ったのですか、彼は袋の中身を素直に答える。あなたは看護師ですか?と訊く。彼は違うと答える。この店はなんでも買える、あそこでバイトしているから、と緑のコンビニを指さす。くまくら、という名前だろうか、二度聞いたが覚えられない。わたしは彼のことがとても好きになってしまう。
赤い車に戻る。擦れた男と女が二人。わたしは大きな氷の袋を片手に、ばりばりとそれを噛み砕いては喉を潤している。