夢日記

夢がないのにユメちゃん、未来がないのにミラちゃん

連続テレビドラマの話

わたしはNHKの連続テレビドラマの撮影に参加している。舞台は大正くらいにみえる。作家のおじさまと、その周辺にまつわる人物との人間模様の話だ。
わたしは小さな役をもらっている。この家に仕える少女で、おじさまの知り合いの、わたしと同じくらいの年齢の男と結婚して、無事その役目を終えることができる。
わたしは撮影現場となっている屋敷をよく眺めてみようと思う。太い柱を片手に持ち、そこを支点にぐるんと回るような、やたら子供染みた動きをする。(役柄に適していない動きだ、誰かに見られていないかと心配する)屋敷の奥にはたくさんの襖があって、どこにも木の枠組みが縦に長い形をしたモダンな障子がはまっていて、部屋に区別がつかない。

その部屋の一つに、この世のものではないような美しい人がいた。
薄暗い部屋に眠る彼は全身白塗りで、ところどころに青のドーランが足され、病気であることが強調されている。
わたしは彼に一目惚れする。
撮影中、彼はずっと布団に伏している。なぜかカメラが回って来る様子はない。
わたしは毎日のように彼の元へ向かい、セックスをする。彼はきまぐれであり、まるで本当に病気であるかのように、ほとんど動くことがない。
わたしにも撮影の順番が回って来る、例の男と円満に結ばれるシーンだ、でもわたしには本当に好きな美しい人がいる。わたしは走って逃げる。
わたしは彼の眠っている部屋に行く。彼に被さった状態で、彼の顔を見下ろす。指の爪のきわまで青いドーランが差されている。そして、厚く顔に塗られたドーランはひび割れているように見える。
ふとその顔が、全く美しくないように思える。
わたしは彼でなく、おじさまのこと好きだったのだと気づく。
わたしはその足で、日の差す撮影現場へ向かう。おじさまが、東屋で数名と何かを話しているシーンを撮っている。
わたしはこのドラマの原作の本を読んでいる。
分厚くて表紙も紙も朽ちてきたような古い本だが、字が大きく話は平坦で読みやすい。
(わたしは故意に、それを持っている)
おじさまはそれに気づき、わたしに笑顔で話しかける。