夢日記

夢がないのにユメちゃん、未来がないのにミラちゃん

恋人が生きている夢

恋人と会う約束をしている。

わたしの通っている大学のキャンパスに迎えに来てくれることになっているのだが、学祭の準備のせいで、予定がずるずると伸びてしまう。
わたしはベニヤ板に紙を貼った粗末な看板や大きな分厚い紙などを片手で持って、恋人と会う。(そこは、わたしの大学ではなく、糺ノ森になっている、バス停が一つずれたら高級住宅地なのに、と思っている)
恋人は髪を刈り上げたように短く切り、背が縮み、横に伸びている。いつもの恋人ではない。
特にジーンズが妙だ。足の長さには合っているが、デザインとして、明らかに寸が短い。
「太った?」と訊く。恋人はそうだと答える。
わたしの大学は女子大で、学祭は系列の共学の方に吸収されている。
そちらのキャンパスを歩いていると、放送が流れる。ぐふぐふと笑う下品な生徒たちの声。どうやら一年生はまだ出し物の主催をしてはいけないのに、○○くんはやっています、という密告の放送のようだ。それはマニアックなアニメ関連の出し物で、この生徒たちはきっとその男の子の友人で、彼はいたずらにはめられたのだと思う。そしてとても恥ずかしくなる。恋人の通っている大学では、こんなことはないだろう。


舞台が変わる。恋人とわたしはスーパーの子供の遊び場のようなところにいる。わたしは恋人と早く二人っきりになりたい。わたしは子供たちと混ざってけん玉をしているが、うまくいかない。今まで一度も玉が皿に乗ったことなどないのだから。恋人は荷物を台の上に下ろして、端の方で立って漫画を読んでいる。なんだろうと覗き込めば、セーラームーンだ。でも、おかしい。線が妙に繊細で、話が感傷的で、描き込まれた机の上にはヒルロイドが置いてある。
わたしはここにいたくないことを告げると、夜から二人っきりになればいいじゃない、と言われる。わたしは母になんと理由をつけて外泊をしようか考える。そんなこと、今までしたことがない。


舞台が変わる。ここはわたしの家だろうか、親の実家だろうか。玄関を開けると、黒く光る木材の床(この家が良いもので古くからあることの証である)が広がっている。わたしは靴を脱ぐ。赤いニーソックスに短い黒のレースの靴下を重ねている。レースの網目の部分から赤が透けて見える。恋人の好む作家の本に書いてあった着こなしだ。恋人も家に上がる。
廊下は広くて本棚がある、わたしはそこの一番下の段から古い漫画を抜こうとする。
家には恋人の友人のK*1*2がいる。わたしは残念に思う。Kは恋人とたいへん趣味が合い、二人でいるといつまでもお喋りをしてしまうのだ。
Kはわたしを見つけ「××ちゃん」と呼ぶ。
わたしは座っているKの膝に乗り、彼が着ているパーカーのチャックを下げながら「いやだ、Kさんがいると、いつも恋人を独り占めしてしまう」と、わざと甘えて拗ねたように言う。
(Kはわたしの親戚かなにかのようだ)

*1:Kは名称であり、仮名ではない。我々は彼のことをKと呼んでいた。梶井基次郎の『Kの昇天』のKで、夏目漱石の『こころ』に出てくるKでもある。そのネーミングセンスはいささか恥ずかしいと二人はわかっている。

*2:現実として、そのような人間は存在しなかった。